高度汚濁排水用UVモニターの比較検討

 

 水質汚濁の汚濁指針としての有機汚濁モターとして用いられている紫外線吸光光度計は化学反応を用いたCOD測定装置に代わるものとして、重クロム酸や過マンガン酸などの重金属の排出を伴わない測定法として定着してきました。

 また、試薬類の定量供給や加熱酸化などのメカニックな機能がほとんど無い為、測定稼働率やメンテナンスの面でも優位に立っております。

 厳密な意味では、従来の化学酸化法によるCODモニターや、燃焼酸化や湿式酸化法により有機物を二酸化炭素にまで変換し測定するTOCモニターによる有機汚濁の測定値よりは精度は欠けるが、それよりも現場の時々刻々の汚濁変化を安心して捉えられる利便性は無視できません。

 日本においては、昭和54年(1979年)の水質汚濁総量規制の実施と共に過マンガン酸カリウム酸化法による化学的酸素消費量(COD)モニターと並んで産業排水の測定装置として採用され、その基本性能は日本工業規格(JIS K 0807)にまとめられています。

 実際に市販されている計器は、各メーカーによりそれぞれ改良が施され、その特徴が公表されているので、その代表的なものについて比較検討を行ってみました。

 

H社OPSA−150T

 本機は「回転セル長変調方式」と称する独自の吸光度測定機構を採用し、最近中国で進められている、工場排水規制の測定方法に採用されるべく改良を施した製品です。

 この基本構造は、H社の資料によると右図のように、光源・受光器を回転軸として偏芯して設けられた光学窓の円筒が回転することにより、光軸上の窓間隔がサイクロイド状に変化することにより生じるセル長の変化から、一定濃度試料の吸光度変化として捕らえ再接近時の吸光度値を基準にして、それぞれの間隔での吸光度からLanbert-Beerの法則に基づき濃度を演算することにより、水質の汚れによって生じる窓面の付着物の影響をキャンセルすることを特長としています。

 これにより、最大間隔時の吸光度と接近時の吸光度から、0〜0.1Abs.の低濃度から、0〜5.0Abs.の高濃度まで幅広い測定レンジをカバー出来るとしています。

参考資料:http://www.jp.horiba.com/analy/opsa-150/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

S社UVM−4020

 この計器も中国市場に特化して開発されたもので、従来のUV計の基本であった、254nm 単波長の測定でなく、紫外域の多波長測定を行いその夫々の吸光度に対して、排水の状態に応じた重み付けを行い、測定排水の有機物の状態に応じた最適化を行える「重み付け多波長吸光度測定(WMW)法」と称する演算法を採用しています。

 検出器セル窓の汚れはワイパーによる間欠自動洗浄で、測定セル内に純水を流した状態で行い、場合によっては洗浄液をセル内に供給しその状態でワイパーを動かして、強制的に汚れを除去する方法が取れるとしています。

 測定濃度範囲の広域化にはセル間隔を、5mm、10mm、25mmの3種類の測定セルから選べるようにしています。

 

 

参考資料:http://www.shimadzu.co.jp/news/press/070618.html

 

 

 

T社OPM−410A

 この計器は、検出器を測定点に直接浸漬して測定する構造で、一般の採水ポンプによる検出器までの試料の汲上が不となり、採水系のトラブルを考えなくていいメリットを出しています。測定セル間隔は、6mm、10mm、25mm の3種類から選択でき、ワイパーによるセル窓面の自動洗浄が行えます。

 また、

 

 

 

 

 

 

参考資料:東亜ディーケーケー株式会社カタログ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

R社 UVR−3000D、M社 UXD−310、

K社 UVDR−5000

 

 これらの計器は、排水路に直接浸漬して測定できる検出器を持ち、「薬液封入型ワイパー機構」と称するセル窓洗浄機構を特長としています。

 測定セルの間隔は、8mmと20mmです。

 

 

 

 

 

 

 

参考資料:http://www.jiwet.jp/spirit21/confluence/pdf_cimt03/23.pdf