大気汚染関連情報
光化学スモッグ、前日午前に予報 気象庁、8月から
日本経済新聞Web刊 2010/7/27
気象庁は27日、光化学スモッグの発生予想を前日午前に知らせる「全般スモッグ気象情報」を8月3日から始めると発表した。これまでは各気象台が主に当日午前中に発表していた。同庁は「屋外での行事を計画する際などに役立ててほしい」と話している。
同庁大気汚染気象センターによると、全国を11の地方に分け、翌日に光化学スモッグの発生が予想される地方があれば、午前11時ごろに発表する。天気予報などで一般的な「数値予報」の技術を利用することで、前日の予報が可能になったという。
光化学スモッグは、工場や自動車などの排ガスに含まれる窒素酸化物(NOx)などが紫外線で有毒な光化学オキシダントに化学変化する現象で、目やのどの痛みなどを引き起こす。
今年、全国の都道府県が光化学スモッグ注意報を発令した日数は26日までに延べ85日で、「梅雨明け以降、毎日どこかで注意報が出ている状態」(環境省大気環境課)。近年、広域で発生する事例が多く、海外からの「越境汚染」の影響が指摘されている。
光化学オキシダント注意報:今年初の発令 倉敷、131人異常 /岡山
県は23日午後2時10分、倉敷市に光化学オキシダント注意報を発令した。工場の窒素酸化物などが紫外線で光化学反応を起こして生成される物質で、目やのどの痛みなどの症状が現れることがある。県内で今年度初めて。
同3時半ごろには同市北幸町の水島中学校で、校内にいた生徒延べ131人が目やのどの異常、頭痛などを訴えたため、同校はうがいや洗眼などの措置を取った。病院での受診者はいないという。注意報は4時間後に解除された。【山崎明子】
光化学スモッグの原因・オキシダントをネットで予報
長崎新聞 Web News 2008/5/10
県環境保健研究センター(大村市)は、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントの予報システムをインターネット上に公開した。注意報発令が相次いだ昨年の状況を受け、県民の自衛に予報を役立ててもらう。
光化学オキシダントは大気中の窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外線で化学反応し発生する。急性の健康被害では目や鼻、のどに刺激を感じる。中国からの原因物質流入が一因とされ、昨年は五月上旬に注意報発令が相次いだ。
予報は午前九時、十時、十一時のデータを基に更新。地図上の星印で「注意報発令の恐れ」などと表示する。
同センター環境課は「注意報発令の回数が年々増えている。発令の恐れがある場合は、外出や屋外での激しい運動を控えるなどしてほしい」と呼び掛けている。予報システムを掲載している同センターのホームページアドレスはhttp://www.pref.nagasaki.jp/kanhoken/
光化学オキシダント:高濃度状態が続く 子供らは気をつけて /長野
◇小諸で一時発令基準オーバー 中国大陸からの汚染物質も影響?
光化学スモッグの原因物質「光化学オキシダント」の濃度の高い状態が続いている。県内では、これまで注意報発令は一度もないが、4月30日には小諸市で発令基準を一時的に超えた。中国大陸から越境してくる汚染物質が影響しているとの指摘もあり、県水大気環境課は「注意報が出される可能性は十分ある。特に子供たちは気をつけて」と呼びかけている。【神崎修一】
光化学オキシダントは、自動車や工場から排出された窒素酸化物などが太陽光線を受け光化学反応することで生成される。濃度が高くなると空に白いモヤがかかり、光化学スモッグが発生する。小さな子供ら感受性の高い人に目やのどの痛みを起こさせる。
光化学スモッグは、70年代に首都圏を中心に深刻な被害を招いた。県でも78年に注意報などの発令基準を定めた要綱を作成したが、高山に囲まれ、首都圏から離れていることもあり、発令されたことはなかった。
同課によると、ここ3〜4年で濃度が上昇。東信地方で関東から物質が流れ込むことに加え、高度経済成長期の中国から汚染物質が越境し流入することも影響しているという。
県の要綱では大気中の濃度が0・12ppmで注意報、0・24ppmで警報を発令すると定める。小諸市の観測点で4月30日午後7時、基準を超す0・13ppmを観測。日没後の短時間だったため、注意報は発令されなかったが、4月27日から5月1日にかけ、小諸、長野両市で、発令基準に迫る0・07〜0・11ppmの濃度を観測。新潟県でも07年5月に初の注意報が出されており、県内でもいつ発令されてもおかしくないという。
県水大気環境課は、発令時には激しい運動を控えるよう呼びかけている。同課の細井要一課長補佐は「4月から5月にかけてと、梅雨明けからお盆にかけて、晴天が続く時に発生しやすい。注意報が出た時は落ち着いて対応してほしい」と呼び掛けている。
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2008年3月21日03時03分
読売新聞)
中国からの“越境汚染”で日本海沿岸のコメ収量1割減
中国大陸からの大気によって光化学オキシダントの濃度が上昇する「越境汚染」問題で、日本海沿岸部のある地点のコメの収量を調べたところ、内陸部との比較で約1割少なくなっているとする研究結果を、農業環境技術研究所(茨城県つくば市)が20日、山口県で開かれた日本農業気象学会で発表した。
光化学オキシダントは近年、日本海の離島などで高濃度で観測され、昨年は新潟、大分県で注意報が発令された。農作物の収量減少は実験から推測されてはいたが、部分的とはいえ、実際に濃度と収量の関連が裏付けられたのは初めて。
研究は、長谷川利拡主任研究員によるもの。品種と肥料水準は同一の日本海沿岸部の1地点と約30キロ内陸に入った1地点を選び、1980年からの収量データを比較した。両地点の近くで測定された光化学オキシダントの5〜9月の平均濃度は、2001〜05年の平均では沿岸地点が0・045ppmで、内陸地点の0・031ppmより高かった。
濃度は沿岸、内陸ともに上昇していたが、沿岸では96〜05年にかけて毎年、内陸部の2倍にあたる0・001ppm高くなっていた。
両地点の玄米の1平方メートル当たりの収量は、沿岸は80〜96年は平均588グラムだったのが、97〜05年は560グラムに減った。逆に内陸では、577グラムから609グラムに増えた。80年代は沿岸の方が内陸よりも多かった収量が、90年代半ばから逆転し始め、2000年以降は内陸が沿岸を常に上回った。
沿岸では、内陸と異なり、夜になっても光化学オキシダント濃度が下がらなかった。夜間に海からオゾンが流れ込み、昼間の高濃度を保ったとみられる。
小林和彦東大教授(農学)によると、収量が減るのは、光化学オキシダントの主成分であるオゾンが植物の葉の中に入り、光合成作用を妨げるため。農作物への影響について、中国では研究者らが「2020年には濃度が0・055ppmを超え、大豆、トウモロコシ、小麦の収量が40〜60%減少する」と推定している。
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スモッグ測定局の配置見直し
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中国新聞 ' 08/3/15
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広島県は新年度、瀬戸内海の沿岸部に集中している光化学スモッグ測定局の配置見直しに乗り出す。県内では1985年8月以降、健康被害の報告はないが、大気中のオキシダント濃度が工場集積地以外でも上昇するケースが目立ってきたことから、広域な監視態勢が必要と判断した。
県が設置している大気の汚染物質濃度の測定局13カ所のうち、オキシダントを対象とするのは、新年度に設ける廿日市市内の1カ所を含めて12カ所。三次市内の1カ所を除き、沿岸部の市町に配置されている。このため県は新年度、学識経験者や県職員ら5人による検討会を発足。県内全域の監視に向けた測定局の再配置や機器の更新などに関する再編整備計画案を、10月をめどにまとめてもらう考えだ。
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環境省は平成19年11月30日までに18年度の大気汚染測定結果をまとめ公表した。
日本では大気汚染防止法に基づき、18年度末現在で全国2,032の測定局(一般環境大気測定局1,581局、自動車排出ガス測定局451局)で大気汚染の常時監視が行われている。
これらの測定局の18年度測定結果は、一酸化炭素(CO)について全測定局で環境基準を達成したほか、二酸化窒素(NO2)の環境基準達成率(一般局100%、自排局90.7%)、二酸化硫黄(SO2)の環境基準達成率(一般局99.8%、自排局100%)もそれぞれ高かった。
一方、17年度は一般局96.4%、自排局93.7%だった浮遊粒子状物質(SPM)の環境基準達成率は、一般局93.0%、自排局92.8%と一般局でやや低下した。
近年SPM濃度の年平均値は、緩やかな改善傾向がみられるが、環境基準を超える日が2日以上連続することによって非達成となった(注1)測定局がやや増加したことが影響したとみられている。
また、光化学オキシダント(Ox)の環境基準達成率は、一般局で0.1%、自排局で3.7%で依然として低迷していた。
なおこれらの結果を踏まえ、環境省は工場・事業場、自動車の排出ガス対策、低公害車の普及、揮発性有機化合物(VOC)の排出規制を推進し、大気環境の改善を図っていくとしている。
(注1)大気の環境基準の長期的評価のうちSO2、CO、SPMは年間の1日平均値のうち高い方から2%の範囲を除外した後の最高値(2%除外値)、NO2は年間の1日平均値のうち低い方から98%に相当するもの(98%値)を環境基準と比較し
て評価する。ただしSO2、CO、SPMについては1日平均値が環境基準を超えた日が2日以上連続した場合には不適合と評価する。【環境省】 |
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プレスリリース
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光化学スモッグ、原因予測し公開 海洋機構と東大
2007年08月22日22時43分 Asahi Com
光化学スモッグの原因となる大気中のオゾン(オキシダント)濃度を予測する「化学天気予報システム」を海洋研究開発機構と東京大学が共同開発、22日から同機構のホームページで公開を始めた。大陸からの越境汚染の影響も反映、濃度が高くなる時間と場所を精度よく9時間先まで示すことができる。
各地の風や温度、湿度などの気象予測データ、日本や海外の窒素酸化物など汚染物質の推定値から、日本のほぼ全域を15キロ四方ごと、関東から中部地方は5キロ四方ごとのオゾンの濃度を予測する。1日に4回更新、9時間先までの予報が地図上に色分けされる。
この予報を首都圏251カ所で監視されている実測データと比較したところ、平均で2割程度の誤差に収まっていた。
気象庁は今年から、南関東4都県で大まかな場所と発生時間を示したスモッグ気象情報を出し始めたが、全国の詳細な予測を時間を追って出しているわけではない。今回の予報は研究開発段階だが、野外活動の是非の目安に役立ちそうだ。
光化学スモッグは70年代以降減少してきたが、近年、再び増え始めて問題化している。
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化学天気予報図。光化学スモッグの原因となるオゾンの濃度が色分けして示されている(青色が低く、赤色が高い。赤色の中心部分の白色はさらに高い)=海洋研究開発機構提供
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2007年8月21日(火) 埼玉新聞(Web埼玉) |
県、国の基準未達成 測定開始以来36年間
光化学オキシダント
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紫外線の光化学反応で大気中に発生、健康被害を引き起こす光化学オキシダント(Ox)の県内測定値が、一九七一年の測定開始以来三十六年間、国の環境基準を一度も達成できずにいる。光化学スモッグ注意報の発令日数は一九九九年度から五年連続で全国ワースト一位。〇六年度も同三位だった。二酸化窒素(NO2)や二酸化硫黄(SO2)などは100%近く基準をクリアしている中で、著しい差が生じている。
県青空再生課によると、県内で生じるOxは、関東地方の工場や車から排出される燃料、塗料などに含まれる窒素酸化物や炭化水素が主な原因とされる。空気が滞留する夏場は、高濃度のオゾンを大量に発生させ、光化学スモッグとなる。
県内では、公園などに設置した五十六カ所の一般環境測定局でOxを測定。毎時間データを記録している。環境省の定めた基準は一時間値が〇・〇六ppm以下。しかし、この値を下回った測定局は県内では今のところゼロという。
県は測定値が〇・一二ppmを上回り、超過した状態が二時間以上継続すると見込まれた場康o.ノ光化学スモッグ注意報を発令。さらに〇・二ppm以上なら警報を出している。注意報は〇六年度に十六回、本年度は二十四回発令された。ただ、警報は〇五年九月に春日部市で出されて以来、途絶えている。
環境基準を超えた時間(昼間)は〇六年度は四百十九時間、〇五年度は四百七十三時間。健康被害は、〇六年度三十六人、〇五年度は八百八十三人から届け出があった。
Oxの環境基準達成例は全国的にも少ない。〇五年度に全国の測定局千百八十四局のうち環境基準を満たしたのは札幌市、北海道石狩市、大津市の三局のみ。同課は「一時間ごとの値が一回でも超えると、達成にならない。健康被害を伴う物質のため、ほかの大気に比べて基準が厳しい」と話す。
一方でSO2や一酸化炭素(CO)は、〇五年度からの二年間でいずれも環境基準を100%達成した。浮遊粒子物質(SPM)は〇五年度に95・8%、NO2は〇六年度に92・9%と、それぞれ自動車排出ガス局で未達成だったが、別の年度では100%だった。
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光化学オゾンの予報を開始 スモッグ被害軽減に期待
2007年08月22日水曜日 河北新報ニュース
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「化学天気予報」の画面。オゾンの濃度が高い地域が赤っぽく示されている(海洋研究開発機構提供)
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海洋研究開発機構と東京大は22日、人体に有害な光化学オキシダントの主成分であるオゾンの濃度が、いつ、どこで高くなるかを予測する「化学天気予報システム」を開発、ホームページで公開を始めた。
光化学オキシダントは、工場や車から出る窒素酸化物などの汚染物質に太陽光が当たって発生する。その大半がオゾンで、光化学スモッグの原因となる。120ppb以上で注意報が出される。
新システムは、オゾンの予測濃度を地図上に色分けして表示する。データは午前9時から6時間ごとに更新され、最長9時間先までの予測を見ることができるので、被害軽減に貢献しそうだ。
汚染物質の移動や、化学反応を推定するモデルなどを組み合わせ、気象条件、国内外の原因物質の排出データを入力して計算する。関東と中部地方では5キロ四方、それ以外では15キロ四方ごとの単位で予測する。中国大陸や欧米などから来る汚染物質を考慮しているのが特徴だ。
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府内の注意報発令ハイペース
光化学スモッグ 環境省調査へ
2007/8/21 京都新聞(電子版)
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京都府は20日、宇治や相楽地域に光化学スモッグ注意報を発令した。今年の府内発令日数は5月以降で延べ9日となり、1977年以来30年ぶりのハイペースとなっている。全国的にも、初めて注意報が発令される地域が出ており、環境省が原因調査に乗り出している。
光化学スモッグは、自動車の排ガスや工場の煙などに含まれる窒素酸化物や炭化水素が、太陽光線に化学反応して生成される汚染物質。目やのどに付くと刺激があり、めまいや頭痛を引き起こすこともある。
府は、府内21カ所の測定局でオキシダント濃度基準(0・12ppm)を超えると注意報を発令する。
今年第一号の注意報を、1988年以来19年ぶりに5月中(23日)に発令した。以降、6月に4日、7月に3日、発令した。
過去には大気汚染が問題となった73、74年に17日の発令を記録したが、77年は9日となり、以降は7日以下が続いていた。
今年は全国的にも5月の発令が多く、これまでなかった新潟と大分両県でも観測史上初めて注意報を発令。急速に発展する中国からの汚染大気流入も懸念されるとして、環境省が7月に有識者の検討会を設け原因を調べている。
光化学スモッグは気温が高いと起こりやすい。府は「お盆中は猛暑だったが、経済活動が少なく、風もあったためか発令に至らなかったようだ。発令中は外出を控えてほしい」(環境管理室)と呼び掛けている。 |
光化学スモッグ警戒−発令基準定める 県が新要綱
8月10日(金) 信濃毎日新聞(信毎Web)
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中国大陸からの汚染物質飛来などで発生が懸念されている光化学スモッグの対策を見直していた県は9日、注意報・警報の発令基準や連絡手順を定めた新要綱を市町村などに通知した。旧要綱では長野、松本両市の一部だけだった発令の対象地域を全県に広げ、発令できる期間も5月−9月末から通年に拡大。高濃度の場合は日没後も発令できるよう変更した。
全県が対象になったため、連絡体制も変更。県生活環境部が各地方事務所を通じて対象の市町村に電話連絡し住民に知らせてもらうほか、対象外も含む全市町村に防災ファクスで知らせる。
また、スモッグの原因物質、光化学オキシダントの濃度が0・10ppmに達した時点で県が警戒体制をとり、監視や情報収集を強化するとした。
これまで同様、濃度が0・12ppm以上で注意報、0・24ppm以上で警報、0・40ppm以上は重大警報を発令。注意報発令時はできるだけ屋外に出ず、自動車使用を控えるよう住民に促し、事業者にばい煙削減を求める。警報時は事業者にばい煙削減を「勧告」、重大警報時には「命令」する。
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"エコロジーシンフォニー” 2007.7.31号に光化学スモッグに関する子供向けの解説が記されている。
<http://www.ecology.or.jp/grish/0708.html>
光化学スモッグ多発、環境省が初会議
光化学スモッグが発生する日が、今年、急激に増えています。環境省は26日、その原因や対策を考える初めての検討会を開きました。問題となっているのは、やはり「中国」です。
福岡県北九州市の小学校。子どもたちが楽しみにしていた運動会が突然、中止になりました。理由は「光化学スモッグ」です。さらに、新潟県では観測史上初めて、「光化学スモッグ注意報」が発令されました。
ピークだった70年代には、年間延べ300日を超えることもあった注意報。今、再び増え始め、今年は5月末までに43日と、去年の3日を大幅に上回っています。
増加の原因は、中国の経済成長にあるのではと専門家は指摘します。
「有力な原因だと考えているのが、中国からの影響です。中国の沿岸部で高い濃度のオゾンが発生しましたが、それが西風に乗って日本の方に運ばれてくるという様子が計算されています」(国立環境研究所・広域大気モデリング研究室 大原利眞
室長)
大原室長は、全国22の都府県で光化学スモッグ注意報が発令された今年5月9日の大気の状況を再現。その結果、光化学スモッグの原因となる汚染物質が混ざった大気が、中国から朝鮮半島を通過して日本に移動する様子が明らかになったのです。そして、環境省は26日、光化学スモッグ多発の原因や対策を話し合う初めての会議を開きました。
環境省はすでに中国側への改善申し入れも念頭に置いていて、この会議の結果を今年中に出したいとしています。(26日16:36)
豊橋南部に大気汚染測定車を配置 光化学スモッグ?で児童ら不調
中日新聞 2007年7月10日
豊橋市南部を中心に六月二十七日に児童・生徒ら七百七十一人が光化学スモッグが原因とみられる大気汚染で体調不良を訴えた問題を受けて、県は十日から二十四日まで豊橋市伊古部町の高豊地区市民館に大気汚染測定車を配置し、光化学オキシダントの発生状況を調べる。
豊橋市内には光化学オキシダントなどの測定場所は市中部に二カ所あるだけで、南部にはなく、二十七日には光化学スモッグ注意報が出ていなかった。
豊橋市は多くの生徒らが健康被害を訴えたことを重視し、県に観測車の配置を緊急要請。データは将来的な監視体制の見直しに活用されるという。
配置される高豊地区市民館は生徒と教諭の計百七人が体調不良を訴えた高豊中学校の近く。観測車は光化学オキシダントのほか、浮遊粒子状物質や二酸化窒素なども観測することができ、観測データは県庁にリアルタイムで送信される。
県大気環境課は「データは光化学スモッグ注意報を出す際の参考にもしたい」と話している。 (安田功)
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近年、光化学オキシダントや対流圏オゾンの濃度レベルが上昇していることを踏まえ(注1)、環境省は、上昇要因や今後の調査研究の方向性を検討する「光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会」を新たに設置し、19年7月下旬に第1回会合を開催することにした。
大気中のオゾンは「成層圏オゾン」と「対流圏オゾン」にわけることができるが、「成層圏オゾン」が紫外線から人の健康を守る働きをしているのに対し、「対流圏オゾン」は大気汚染物質として、人の健康や植物に悪影響をもたらす性質がある。光化学スモッグの原因となる「光化学オキシダント(大気中の酸化性物質の総称)」も主成分(約90%)はオゾンだといわれている。
近年の光化学オキシダント濃度レベル上昇の背景には、(1)大陸からの移流、(2)対流圏オゾンの人為的要因による増加、(3)窒素酸化物(NOx)と揮発性有機化合物(VOC)の濃度比の変化、(4)ヒートアイランド現象などが関係しているとみられているが、検討会では既存の知見にもとづきながら、(一)日本の光化学オキシダント濃度レベルの上昇要因、(二)北緯20度〜60度の地域での対流圏オゾンの濃度レベルの上昇要因、(三)日本の光化学オキシダント発生源の濃度レベル上昇への寄与度、(四)光化学オキシダント濃度の予測手法、(5)今後必要とされる調査研究の方向性−−などを検討する予定。
(注1)19年の光化学オキシダント注意報発令都府県数は、5月末までに過去最高記録の26都府県を記録している。 |
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光化学スモッグ 環境省、検討会設置へ 来月、原因や対策を探る
環境省は20日、九州など全国各地で観測されている 光化学スモッグの原因究明と対策を探る有識者組織「光化学オキシダント・対流圏オゾン検討会」(仮称)を7月中に発足させると発表した。光化学スモッグについては「中国大陸からの汚染物質の移流が主な原因である可能性が高い」(福岡県)との指摘があり、中国の影響がどの程度なのか、その解明が最大の焦点となる。
九州地方知事会が同日、原因究明などを同省に求めた席で、同省の田村義雄事務次官が明らかにした。メンバーの人選はこれからで、原因と対策についての中間取りまとめを年内に出すという。
同省によると、今年の光化学スモッグ注意報の発令日は、5月末までに26都府県で延べ44日に達している。国が調査を始めた1970年以来、大分県と新潟県で初めて発令するなど発令地域は過去最大の広がりになっている。田村次官は「中国の影響はあると思うが、どのぐらいなのかは明確でなく、検討会を設けることにした」と話している。
=2007/06/21付 西日本新聞朝刊=
光化学スモッグ注意報発令、過去最多の26都府県
Asahi Com 2007年06月20日21時54分
今年に入って光化学スモッグ注意報を発令した都道府県数が5月末までに26都府県に上り、過去最多を記録した。これを受けて、環境省は20日、有識者でつくる検討会を7月に設置し、原因究明と対策に乗り出すと発表した。年内にも報告書をまとめる。
光化学スモッグ発生のピークは大気汚染が社会問題化した70年代だったが、最近再び増えており、環境省によると、注意報を今年発令した都道府県数は、これまで最も多かった昨年の25都府県を上回った。
発令は特に九州で目立ち、初めて注意報を出した大分県を含む4県で発令されている。九州地方知事会はこの日、国に対策を求める緊急要望を提出した。
光化学スモッグは、大気中で高濃度になった光化学オキシダントが引き起こす現象。のどや目への刺激などの健康被害や、農産物への悪影響のおそれがある。
光化学オキシダントの主成分であるオゾンは、自動車や工場などが出す大気汚染物質が日光を浴びて発生する。最近は島など都市部以外でも発生していることから、中国で発生した大気汚染物質が海を越えて日本に来る「越境汚染」の可能性が指摘されている。
長崎新聞 '07/6/19
「全地点で基準上回る 光化学オキシダント濃度」
県は十八日、二〇〇六年度の県内の大気環境調査結果を発表。光化学スモッグの原因となる光化学オキシダント濃度が、県内二十九カ所すべての地点で環境基準(〇・〇六ppm)を超過した。すべての測定地点で基準を上回ったのは十一年連続。
県環境政策課によると、光化学オキシダントは、成層圏中のオゾンや、大気中の窒素酸化物などが太陽の紫外線と化学反応を起こし発生する物質。高濃度の場合、粘膜への刺激や農作物への被害報告があり、三−六月と九−十月に濃度が高くなる傾向。〇・一二ppmを超えた際に出される注意報が昨年五月、県内で初めて佐世保市で発令され、本年度は六月一日現在で三回発令されている。
光化学オキシダントの発生原因について同課は「大陸からの飛来や成層圏からのオゾン降下などの影響と考えられるが、詳細は不明。九州知事会を通じ国に調査を要望したい」としている。
一方、大気中の浮遊粒子状物質は、調査した四十四地点のうち「東長崎支所」(長崎市)と「相浦」(佐世保市)を除く四十二地点で年間環境基準を達成し「大気の状態はおおむね良好」(同課)。四カ所で調査した自動車排出ガスに伴う二酸化窒素や一酸化炭素のほか、酸性雨、石綿除去作業をした八カ所周辺での石綿濃度は、いずれも基準を下回った。
大気環境調査は、大気汚染防止法に基づき毎年実施。年間を通じ一般大気と自動車排出ガスなどを調べている。
熊本日日新聞 '07/5/30 [光化学スモッグで緊急警告 主成分の濃度25年間上昇] |
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環境省所管の酸性雨研究センター(新潟市)は30日までに、光化学スモッグの主成分である地表付近のオゾン濃度が、日本全域で25年間上昇し続け、注意報の発令地域が拡大するなど深刻化しているとして、早急な対策強化を訴える緊急アピールをまとめた。
中国で原因物質の排出量が急増、日本にまで流入していることが一因とみられ、東アジア全体での排出量削減強化や、人の健康や植物への影響に関する調査が必要だと訴えている。
光化学スモッグの主体である地表付近のオゾンは、自動車の排ガスなどに含まれる窒素酸化物(NOX)や、ガソリンや溶剤に含まれる揮発性有機化合物(VOC)が、太陽光を受けて化学反応を起こすことにより発生。濃度が高くなると、肺の細胞を破壊する恐れがあるほか、植物の成長も妨げる。
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光化学スモッグで85小学校の運動会中止…北九州
北九州市は27日午前8時45分、市内全域に光化学スモッグ注意報を発令した。
市立の全132小学校のうち85校で運動会が予定されていたが、同市の指示によりすべて中止となった。
市環境保全課によると、27日午前9時現在で、市内14観測局のうち、大気中の有害物質「光化学オキシダント」が大気汚染防止法の基準濃度(0・12ppm)を上回る地点が7局あった。
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2007年5月27日18時31分
読売新聞)
5月27日(日)信濃毎日新聞 「信州にも光化学スモッグ?
県が対策見直し」
工場の排ガスなどの汚染物質が変化し発生する光化学スモッグの影響が、1度も注意報が出たことがない県内にも及ぶ恐れがあるとして、県は対策を見直す方針を決めた。
中国大陸から汚染物質が西風に乗り、日本周辺に届く新たなルートの存在が指摘されているためだ。
26日は、同じく汚染物質を含むことが分かっている大陸からの黄砂も観測。「さわやか」と形容されることの多い「信州の空気」には二重の脅威になりそうだ。
光化学スモッグは高度成長期に各地の工業地帯で発生。長野県は1978年、緊急時対策要綱を作り、注意報や警報の発令、解除の基準などを定めた。発令対象地域は「平成の大合併」前の長野、松本両市の旧市域。
同要綱によると、注意報は光化学スモッグの成分「光化学オキシダント」濃度の1時間値が0・12ppm以上を記録し、さらに継続するとみられる場合に発令。
濃度は県と長野市が合同庁舎など13カ所で測定している。
ただ、これまで濃度が基準値に達することはあっても、注意報を出す継続状態になったことはない。
基準値に達したのは、関東地方で日中に発生した光化学オキシダントが東信地方などに流入した影響とみられている。
流入は夕方ごろで、日没後は新たな光化学オキシダントが発生せず、被害は出にくかった。
一方、“中国大陸ルート”の解析研究は2005年に国立環境研究所と九州大などが発表。
両者は、今月8日前後に日本各地で観測された光化学スモッグも、中国東岸からオゾンが西風に乗り広がって起きた−とするシミュレーション結果をまとめている。
新潟県では9日、1972年の観測開始以来初めて光化学スモッグ被害が発生。子どもらが目やのどの痛みを訴えた。
九州大の研究者は「甲信地方も影響を受けた可能性がある」と指摘する。
こうした状況を受け、長野県は、発令対象地域が限られている点をまず再検討する考え。現在も県と気象台、長野、松本両市や市教委、県警などとの連絡態勢を決めているが、これも検討課題になりそうだ。
新潟県は9日、対象外の妙高市、上越市などにも注意報を急きょ出した。妙高市によると、午後3時半ごろ県から連絡が入ったが、市からの連絡ルートが決まっておらず、市教委への連絡は約2時間後。小学生ら23人が被害に遭ったという。
長野県生活環境部は「光化学スモッグが出来る化学反応は人為的に止められない。注意報を出す地域を広げ、関係機関との連絡が円滑になるよう検討を急ぎたい」としている。
'07/5/16
岩手日報 光化学スモッグで初の対策会議
県と2市
光化学スモッグを引き起こす恐れのある有害物質・光化学オキシダントの大気中濃度が、県内で急上昇している問題で、県は
16日、関係部局と盛岡、一関両市の担当者らによる初の対策会議を盛岡市内で開き、注意報発令時の対応について協議する。
盛岡市も15日、対策会議を設置、17日に初会合を開く。
県が開く会議は、県環境生活部、総合政策室、県教委、県環境保健研究センター、観測機器のある盛岡、一関両市の担当者ら
が出席。注意報を発令した場合の県民への情報提供や、健康被害が出た時の情報収集体制などについて話し合う。
県内の光化学オキシダント濃度は、4月30日に一関市で注意報発令基準値の0・12ppmを記録。15日は日照が少なかったこと
から、濃度の最高値(速報値)は盛岡市、一関市とも0・082ppmだったが、「晴天で無風」などの気象条件が続けば、濃度は
急上昇することが予想される。
一方、盛岡市は5月9日に観測史上最高の0・104ppmを記録。国の環境基準(0・06ppm)を大きく上回り、注意報発令基準
(0・12ppm)に迫った。
同市は今後の注意報発令を想定して会議の設置を決定。環境部、保健福祉部、教育委員会など全庁を挙げた体制で、市民への
周知を徹底する。
光化学スモッグは中国発?
環境研・九大が推計
Asahi Com 2007年05月13日11時21分
日本列島が高気圧に覆われ各地で今年一番の暑さになった今月9日に、九州北部から関東まで20都府県以上で観測され
た光化学スモッグは、中国大陸で発生したオゾンが主原因だったらしい。西風でオゾンが運ばれてきた様子が、九州大学と国
立環境研究所によるシミュレーションで再現された。以前から指摘されている「越境汚染」の可能性を裏付けるものだ。
光化学スモッグは、光化学オキシダント(主成分はオゾン)が起こす。オゾンは、自動車や工場などが出す窒素酸化物などの
大気汚染物質が日光を浴びるなどして生じることが知られている。
10年以上前からアジアの光化学スモッグを研究してきた九州大応用力学研究所の
鵜野伊津志(うの・いつし)教授、環境研の大原利真(としまさ)・広域大気モデリング研究室長
らのグループは、中国や日本を含むアジア各地の大気汚染物質の排出量を、エネルギー
消費や車の台数などから推計。オゾン生成の化学反応や風向・風速を加味して、地上での
オゾン濃度の変化を数値計算した。
それによると、6日午後3時では中国沿岸部などに高濃度の地点があるが、日本は各地とも
低濃度だった。
ところが、東シナ海の高気圧の北側に西風が吹き、7日から9日にかけて、高濃度のオゾンが
中国から日本に広がったとの結果が出た。
九州などに広がったオゾンは8日時点で、地域によっては光化学スモッグ注意報の発令
基準(0.12ppm)に近い濃度レベルに達する、との計算結果で、8、9日に日本国内で
実測された光化学オキシダントの濃度分布などとよく合っていた。
光化学スモッグは70年代がピークだったが、近年、再び各地で注意報の発令が増えている。特に九州北部や日本海側での
発令が目立ち、9日には新潟県で72年の観測開始以来初の注意報が出された。こうした特徴や、日本の大気汚染が規制で
改善傾向にあることから、研究者の間では中国からの越境汚染の影響が大きいとの見方が強かった。
大原室長は「国内で光化学スモッグの原因物質をさらに減らすと同時に、越境汚染について国際的なルールを作る必要が
ある」と指摘している。
2007/5/12 岩手日報 県、HPで情報提供
光化学スモッグ物質
県は11日、光化学スモッグを引き起こす可能性がある有害物質・光化学オキシダントに関するホームページ(HP)を開設し、
県民への情報提供を始めた。県教委も同日、県内の全公立学校に注意報発令時の対応方法などを通知した。
県のHP(http://www.pref.iwate.jp)内に「光化学オキシダント情報」を開設。注意報の発令状況や、発令時の対処
方法のほか、発生のメカニズムなどを掲載する。現在はHPのトップページ「注目情報」からのアクセスが可能。
注意報発令時はHP、報道機関のほか、県教委を通じて各学校にも情報提供を行うことも決めた。
県教委は11日、県立学校と市町村教委に対して、発生確率が高い気象条件や時間帯、発生時対応などの諸注意を通知。
運動会シーズンを迎え、屋外に出る機会が多い児童生徒に配慮した。
光化学オキシダント濃度は4月30日に一関市で注意報発令基準値(0・12ppm)を記録。4、9日にも注意報値に迫る濃度
を観測している。
11日は気温が低く、風もあったため、濃度の最高値は盛岡市0・064ppm(速報値)、一関市0・068ppm(同)だった。
岩手のニュース
05/10-13:09-岡山日日新聞-大気汚染防止夏季対策本部を県庁内に設置
岡山県は10日、「大気汚染防止夏期対策本部」(本部長・山口裕視副知事)を県庁内に設置した。9月10日までの4カ月間、光化学オキシダントの高濃度汚染を監視し、人や農産物への被害防止に努める。 日照量が増え、オキシダント濃度が上がりやすくなる5月上旬に毎年設置。10日は県環境管理課入り口に、山口副知事と福田伸子生活環境部環境管理監が看板を掲げた。 対象となるのは岡山市、倉敷市、玉野市、笠岡市など県南の8市1町。光化学オキシダントの濃度に応じて「情報」(0・1餒)、「注意報」(0・12餒)、「警報」(0・4餒)を発令し、各自治体を通じて注意を喚起する。 情報発令時にはあらかじめ選定した「緊急時協力工場」(84工場)に窒素酸化物排出量の削減や作業の一時中止を要請。また、各官公庁や主要企業に対してはマイカー通勤や公用・社用車の自粛を求める。 休日を含めた監視体制を敷き、主要18工場から排出されるばい煙量を測定。その結果をホームページ上にリアルタイムで提供する。
05/09-12:47-岡山日日新聞-光化学オキシダント 倉敷で今季初異例の早期発令
岡山県内では今シーズン初となる光化学オキシダント情報(基準値0・1ppm)が8日、倉敷市で発令された。5月上旬の発令は異例で、平年より1カ月程度早い。県では、10日に大気汚染防止夏季対策本部の設置を予定しており、警戒を強めている。同市春日測定局での濃度が0・092ppmを記録した午後1時50分に発令。ピークの午後5時台には、児島局で0・12ppmを観測した。同日は日射が強い上に風が弱く、光化学オキシダント濃度が高まる気象条件が重なったとみられる。県などが同市内の協力33工場に窒素酸化物などの削減を要請した結果、発令から約4時間経過した同6時40分に解除された。県内では昨年「情報」が24回、「注意報」(0・12ppm以上)が11回発令され、この10年間では最多だった。健康被害も30年ぶりに発生し、倉敷市と総社市で計26人が目がチカチカするなどの症状を訴えている。県環境管理課では「気象条件に左右されるが、健康被害が発生しないように対策に努めたい」と話している。
2007年5月9日
-西日本新聞-光化学スモッグ 九州かすむ 19市町 注意報 福岡 長崎 熊本 のど痛み、部活中止も
福岡、長崎、熊本三県の19市町で8日、大気汚染防止法に基づく光化学スモッグ注意報が発令された。原因物質の光化学オキシダントはぜんそくなどの健康被害を起こす恐れがあるため、北九州市などは大規模工場を持つ事業所に対し、ばい煙の排出量抑制を要請。各県とも住民や学校などに外出を控えるよう呼び掛けた。長崎県内では諫早市や佐世保市、五島市で中高生計12人が目やのどに痛みを訴えたほか、福岡市や北九州市でも小学生が目やのどの異常を訴えた。発生原因として中国大陸からの影響を指摘する専門家もいる。
大気中の光化学オキシダント値が基準値の0.120ppmを超え注意報が発令されたのは、福岡県内では福岡市や北九州市など10市町。福岡市は11年ぶりとなり、北九州市は4月26日に10年ぶりに出されて以来、今年2回目で、市内全域に出されたのは初。前原市や筑紫野市、春日市、大野城市、太宰府市など8市町での発令は初。長崎県内では佐世保市や五島市、松浦市など7市、熊本県内では天草市と苓北町の2市町で発令された。注意報はいずれも8日夜解除された。
注意報を受け、太宰府市の太宰府東中学校が部活動を中止して全校生徒を帰宅させ、前原市では市民に外出を控えるよう防災無線で呼び掛けた。また、各地の教育委員会は小中学校に屋外での運動を避けるようファクスや電子メールで連絡。北九州市では体育の授業や運動会の練習を取りやめた学校もあったという。
福岡管区気象台によると、福岡市では同日午後2時49分、今年最高の気温28.3度を記録。国立環境研究所(茨城県つくば市)によると、光化学スモッグは、気温が25度を超し、日差しが強いなどの条件が重なると発生しやすいという。
× ×
●原因物質大陸から? 環境対策遅れ深刻非工業地帯でも観測
福岡、長崎、熊本の三県で8日、光化学スモッグ注意報が発令されたが、かつては工業地帯や大都市圏で観測された原因物質の高濃度光化学オキシダントが、ここ数年は、北部九州の離島や地方都市で観測されるようになった。国立環境研究所(茨城県つくば市)広域大気モデリング研究室の大原利真室長は「中国など大陸から大気汚染物質が飛来しているのではないか」と分析する。
大原室長が注目するのは、昨年5月に長崎県佐世保市で、同6月には熊本市で、観測史上初めて光化学スモッグ注意報が発令された点。近隣に大気汚染を引き起こす大規模な工業地帯などがないのが理由だ。長崎県五島市や熊本県天草市では8日にも発令された。
経済発展が著しい中国では、環境対策の遅れや公害問題が深刻化。大原室長によると、九州各地で注意報が発令された8日、移動性高気圧の影響で北部九州には大陸から西風が吹き込んでいたという。「大陸から西風が吹くと、北部九州で光化学オキシダント濃度が高まる傾向がある」。こうした傾向は北部九州に特有で関東や近畿の大都市圏ではみられないという。
九州大学応用力学研究所の研究班も、中国の大気汚染の影響で2020年には九州で観測される大気汚染物質オゾンの濃度が、首都圏を上回ると推計している。
2007/05/09 四国新聞
直島にオキシダント予報 香川県が今年初の発令
香川県は8日午後3時、今年初の光化学オキシダント予報を直島地域(香川県香川郡直島町)に発令した。直島地域への発令は1999年7月以来、8年ぶり。
県環境管理課によると、直島町役場で大気中のオキシダント濃度が0・11ppmを記録し、予報発令基準の0・10ppmを超えた。予報は、基準を下回った同日午後5時50分に解除した。
2007/4/28 長崎新聞
光化学オキシダント注意報発令 佐世保など3市
県は二十七日、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントが、大気汚染防止法に定める注意報発令濃度(0・12ppm)に達したとして、佐世保市、五島市、西海市の全域に注意報を発令した。発令は昨年五月の佐世保市以来で、五島市と西海市は初めて。五島市内の女子高校生(15)が、目の痛みなどを訴えた。
県環境政策課によると、午後二時に佐世保市石岳局で0・121ppm、五島市五島局で0・138ppm、同四時に西海市雪浦局で0・121ppmを計測した。
光化学オキシダントは成層圏中のオゾン、大気中の窒素酸化物や炭化水素が太陽の紫外線で化学反応を起こし発生する。急性影響として目や鼻、のどに刺激を感じる。同課は「最近は県内全域で濃度が高く、注意が必要。屋外での過激な運動を控え、目やのどに刺激を感じたら洗眼やうがいを」と呼び掛けている。
2007/4/28 読売新聞(熊本)
光化学スモッグ天草、苓北に注意報 今年初県、5時間後には解除
県は27日午後、今年初めて光化学スモッグ注意報を天草市河浦町と苓北町で発令した。県と市町は児童・生徒に屋外で運動しないよう呼びかけ、車の運転の自粛を求めた。
同市河浦町の測定局で午後3時、光化学オキシダント濃度が注意報の基準値(0・12ppm)を超える0・123ppm、苓北町の測定局ではその10分後に0・125ppmになった。約5時間後に解除された。
この日は、光化学スモッグの注意報を想定した県と関係自治体の伝達訓練が行われていた。この最中の発令で、天草市と苓北町では職員らが対応に追われた。 同市では、市内の小中計61校と保育園などへ全支所を通して電話などで連絡。防災無線で外出を控えるよう呼び掛けた。苓北町でも訓練を中止して小中学校への連絡などに当たった。注意報発令が下校時間帯だったこともあり、目立った混乱はなかったという。町生活環境課は「万一、症状が出たらうがいをしたり目を洗ったりし、ひどければ医療機関で診察を受けてほしい」としている。両市町には健康被害の情報は入っていないという。
県は13市町で光化学オキシダント濃度を監視している。この日、熊本市の最高値は0・099ppm、八代市は0・09ppmだった。
県内では昨年6月、初めて熊本市で注意報が発令され、今回が2回目。
2007/4/27 読売新聞
光化学スモッグ注意報、北九州で10年ぶり発令
北九州市は26日午後1時20分、若松区と八幡西区に、光化学スモッグ注意報を発令し、自動車の使用や外出を避けるよう呼びかけた。同市での発令は1997年4月以来。注意報は同8時15分に解除された。
若松区の江川観測局で、光化学スモッグの原因となる光化学オキシダントの平均濃度(正午〜午後1時の1時間値)0・122ppmを観測。大気汚染防止法で定められた基準を0・002ppm上回った。
光化学オキシダントは、工場や自動車から排出される窒素酸化物などが太陽光線の照射を受けて化学反応して発生する。強い日差し、高温、乾燥などの気象条件が重なると高濃度になりやすい。
同市内で観測している窒素酸化物の値に大きな変化はなく、市環境保全課は「黄砂が空気中の水分を吸収して湿度が下がり、発生しやすい条件になった可能性もある」と話している。
同市は、目やのどに刺激を感じたときは目を洗ったり、うがいをしたりして区役所に連絡するよう、広報車などで市民に周知。各区内の学校や幼稚園などにも注意を呼びかけた。ばい煙を排出している製鉄工場など市内26工場に対し、排出量を通常操業時の20%削減するよう協力を要請した。
環境省によると、昨年の注意報発令は、25都府県で延べ177日。
2007/4/7
日本経済新聞(中国版) 「光化学スモッグ注意報、県民にメールで送信・山口県」
2007/2/28 日経エコロジー 「中央環境審議会、自動車排出ガス総合対策のあり方を取りまとめ」
2007/2/9 北海道新聞
「光化学スモッグ過去最悪 中国から汚染物質か」
2007/2/10 EICネット より 「18年の光化学オキシダント被害者届出人数、289人に」
2006/12/3
フジサンケイ ビジネスアイ 「大気汚染 晴れた朝にはご用心」
2006/11/18 読売新聞 奈良版 大気有害物質
基準超す
2006/11/17
日経産業新聞 オゾン濃度簡易に計測 NTT環境エネルギー研究所
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